歯の痛みは他の病気の可能性も考えられます

歯の痛みは他の病気の可能性も考えられます

・高齢者ほど考えられる病気の危険性

顎の疲れや歯の痛み…高齢者の口元異変に潜む意外な病気

12月16日 09:26

顎の疲れや歯の痛み…高齢者の口元異変に潜む意外な病気

(C)pashapixel/iStock

(日刊ゲンダイDIGITAL)

 口をもぐもぐさせる、舌を出したり引っ込めたりする、歯を食いしばるーー。老人ホームなどでよく見かける光景で、高齢者特有の動きのように思える。しかし、病気が隠れていることがあるという。「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長が言う。

「歯がむずがゆい、歯が痛い、入れ歯が合わない、顎が痛い、疲れる、と訴える人は顎関節症などと診断されがちですが、そうした患者さんのなかに、実は口舌ジスキネジアではないか、と疑われる人もいるのです」

 ジスキネジアとは自分の意思とは無関係に体のどこかが勝手に動いてしまう不随運動の総称。「口舌ジスキネジア」は、そのなかでも口周囲の顔面筋、舌筋、そしゃく筋に、持続して同じ動きを早く繰り返す不随意運動を指す。口舌ジスキネジアか否かを判断するには、頬に手を当てて、咬筋などの動きを知る必要がある。意識なしに咬筋などが固くなるようなら、この病気の可能性がある。

「口舌ジスキネジアの患者さんは歯をカチカチ鳴らしたり、噛み合わせながら左右に動かすことで歯の表面を摩耗させたり、入れ歯を傷つけたり、口に痛みを感じたりします。なかには舌を動かさないよう歯に押しつけるため、舌先に痛みを訴えられる患者さんもおられます。話をするのに支障はありませんが、しゃべり方が変わる人もいます」

 その原因のひとつに薬の副作用がある。抗うつ剤や睡眠薬、パーキンソン病治療薬などで起こることがある。

「抗うつ剤や睡眠薬による口舌ジスキネジアは、薬を飲み始めてかなり時間が経ってから症状が表れることが少なくありません。なかには、薬をやめた後に症状が表れることもあり、遅発性ジスキネジアと呼ばれています」

 薬以外に中枢性の障害で発症することもあり、統合失調症、アルツハイマー病、認知症、自閉症などさまざまな病態が引き金になるといわれている。ラクナ梗塞もそのひとつだ。

「脳梗塞には、脳の奥底の毛細血管が詰まるラクナ梗塞と、脳の太い血管に動脈硬化などで血栓ができてそれが詰まるアテローム梗塞、心臓などから血栓が脳の血管に飛んできて詰まる、心原性脳梗塞の3種類があります。中高年の患者さんの脳をMRI(磁気共鳴画像装置)で写すと複数のラクナ梗塞が発見されると言われています。ラクナ梗塞は日本人の脳梗塞の半分を占めるもので、症状を起こさないことも多く、無症候性脳梗塞とも呼ばれます」

 ただし、繰り返しラクナ梗塞を起こすと、血管性痴呆やパーキンソン症候群を発症しやすいと言われている。

 顎が疲れる、歯が痛いなどの高齢者の口元の異変は持病の薬や脳の異常が関係している可能性もある。覚えておこう。


顎の疲れや歯の痛み…高齢者の口元異変に潜む意外な病気

・運動している人も頑張りすぎに注意

健康自慢の31歳アスリート妻を襲った「歯の異変」の正体

木原洋美:医療ジャーナリスト

​ 友美さんのように、歯にしみる、かむと痛いといった症状のほか、歯や歯茎に腫れを感じたり、歯茎から血が出る、歯がぐらぐらしたりするなどの症状が出たりすることがあり、ひびから歯の内部に虫歯菌が侵入するリスクも高まる。

 2005年に公益財団法人8020推進財団(80歳になっても20本以上、自分の歯を保つことを提唱・推進する厚生労働省と日本歯科医師会による組織)が行った調査によると、歯を失った原因のうち「破折(歯が折れたりひびが入ったりすること)」は11.4%で、歯周病、虫歯に次ぐ第3位となっている。

歯を食いしばって頑張ると
健康に悪影響が出る?

 加齢による歯の劣化に拍車をかけるのが、友美さんも指摘された「食いしばり」だ。

「食いしばりによって歯に過大な力がかかると、ひびが入ったり、割れたりしてしまうことがあります。特に神経を抜いた歯は水分が減ってもろくなっているので要注意です。歯のひびや亀裂から細菌が侵入して神経が損傷され、壊死することもあります。

 炎症が起きて歯茎が腫れたり、化膿して口臭が発生したりするほか、食いしばりのせいで歯を支えている骨に負担がかかり、骨や歯茎が痩せてしまうことがあります。歯周病の方の場合は、食いしばりの力によって歯を支えている骨の溶ける進行が早くなるためより歯周病が進行しやすくなります。

 肩こりや偏頭痛も、食いしばりが影響しているといわれています。歯を食いしばることには様々な悪影響があるんですよ」

 脅すつもりはないのだろうが、歯科医師の言葉は怖かった。

 

 人間のかむ力は、その人の体重程度だと言われており、体重40キロの女性の噛む力は、大体40キロということになる。

 歯にかかる負担は相当なものだが、無論、いつでもこれだけの力がかかっているわけではない。食事の際にかかる力はせいぜいこの20%~30%くらい。

 全力がかかるのは、寝ている時や重い物を持ち上げる時、あるいはスポーツで集中している時など、無意識で歯を食いしばる時だ。さらに精神的なストレスも、関係していると考えられている。

 歯を食いしばる行為は、アスリートに限らず、人間が懸命に頑張っている時の習性だ。日常生活におけるいろいろなシーンで、歯を食いしばって頑張る癖のある日本人の割合は、なんと約6割に達するという。

独立起業の決意が
歯を食いしばらせていた

 ちなみに友美さんには、自分が歯を食いしばっているという自覚はまったくなかった。

 そこで家に帰ると夫の大輔さん(仮名・32歳)に尋ねた。

「ね、私、歯を食いしばっているんだって。『このままだと歯がボロボロになるかもしれない』って言われたわ」

 すると大輔さんは、納得したように言った。

「食いしばっていたのは知らなかったけど、寝ている時に、この頃よく歯ぎしりをしているよ。前はしてなかったからさ、何かストレスがあるんじゃないの」

 

 友美さんはハッとした。

 周囲の誰にも言っていなかったが、少し前から独立起業すると決め、密かに準備を始めていたからだ。

 彼女の職業はネイリスト。センスが良く、テクニック抜群なので人気があり、ちょっと前にはテレビの情報番組で紹介されたりもした。

 (そろそろ自分のお店を持って、実力を試してみたい)

 そんな気持ちが影響し、歯にも力が入ってしまったのだろうか。

 合点がいった友美さんは、歯のひびを修繕してもらうのと合わせて、歯科医でマウスピースを作ってもらい、毎晩はめて寝ることにした。

 また、仕事中の食いしばりを予防するために、自分の近くの目に付く至るところに「スマイル!」という言葉と笑顔のイラストを描いた紙を貼り、それを見るたび意識的に口元を緩めるようにした。

 おかげで、歯が痛んだり、しみたりすることがなくなったほか、顎のカックンカックンと肩こりも改善。以前にも増して、健康に自信が持てるようになった。

「虫歯がないのに、歯がボロボロになることがあるというのは驚きでした。早くわかってよかったです。それと、無意識に、歯にひびが入るくらい頑張っていた自分って、いじらしいと思いました。頑張っている自分を褒めてあげたいです」

 独立起業の準備も着々と進んでいる。

(医療ジャーナリスト 木原洋美)


健康自慢の31歳アスリート妻を襲った「歯の異変」の正体

・虫歯は放置しない

「虫歯になっているけど、治療に行く時間がなかなかない」

そんな事情から虫歯を放置したままの人もいるかもしれませんが、虫歯を放置しておくとロクなことはありません。筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中で紹介していることのひとつが「顎骨炎」という病気です。

顎骨炎という言葉はあまり聞きなれないと思いますが、文字どおりあごの骨の炎症のことで、非常に重症化したり、ときに命にかかわったりする場合もあります。そしてこの病気は虫歯の悪化が原因で発症することもあり、決して誰にとっても他人事とはいえない病気です。顎骨炎とはどのようなものなのか、顎骨炎にならないためにはどうしたらよいのでしょうか。

顎骨炎とは

顎骨炎は炎症が起こる場所や広がり方などに応じて「顎骨骨髄炎」「顎骨骨膜炎」「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」というような病名がつけられます。骨は皮膚や粘膜、筋肉などで覆われているため、普通は炎症を起こしにくい部分なのですが、あごの骨に関しては別で、顎骨炎を起こすことはそれほど珍しくありません。それはなぜかというと、歯が直接骨に埋まっているため、歯からの感染が骨に波及しやすいからです。

このように、顎骨に細菌感染を起こす経路は主に歯からで、口の中の細菌により虫歯から歯髄炎が起こって顎骨に感染が広がるケースをはじめ、歯周病の炎症や親知らずの周囲の炎症、抜歯後の細菌感染が顎骨に広がるケースも見られます。

顎骨炎(骨髄炎)の症状としては次のようなものが挙げられます。

顎骨炎(骨髄炎)の症状とは

1強い痛み・腫れ

歯が原因で起こっている場合、原因歯の痛みやかんだ時の痛みに加えて、周囲の歯にも痛みが出てきます。また、歯茎の粘膜や周囲の皮膚が熱を持ち、赤くなって腫れ上がることでさらに痛みが強くなります。ただし、骨髄炎のように内部に炎症の中心がある場合には、赤みや腫れがはっきりと出ないこともあります。

2顎下リンパ節の腫れ

あごの下のリンパ節が腫れてきます。

3歯の動揺

原因となる歯はもちろんのこと、その周囲の歯にも動揺が起こってくることがあります。

4つばを飲み込むと痛い

奥歯が炎症の原因となっている場合、つばを飲み込むだけで痛みを感じることがあります。

5口があまり開かなくなる

奥歯が原因の場合、口があまり開かなくなってくることがあります。

6熱・倦怠感・食欲不振

全身的にも症状が現れ、高熱や倦怠感、食欲不振が現れてきます。

7下唇の感覚のマヒ

あごの骨の内部に炎症がある骨髄炎では、下唇の感覚がマヒすることもあります。

顎骨炎は悪化すると重症化し、上あごの場合は目や脳へ、下あごの場合は舌下や扁桃、首、前胸部にまで炎症が波及することがあります。また、この状態に気づかず放置していると、炎症を起こしている細菌が血液中に入り込んで増殖し、全身に感染が広がってしまう「敗血症(はいけつしょう)」を起こして、命にかかわる状態になることもあります。特に糖尿病などで免疫力が低下している人においては、このような状況が起こりやすくなるため、注意が必要です。


「虫歯の放置」が引き起こす意外な重病の恐怖

・歯痛は心臓にも影響する?


 「歯の痛み」が、よもや心臓の血管の異変を示すシグナルだなんて、気が付けというほうが無理な話。でも、そんな意外な症状から命を救った人もいる。今回のテーマは「狭心症」。

 ■戸川稔さん(44歳=仮名)のケース

 初めは左の奥歯が痛い、というより「重い」という感じでした。虫歯の痛みとは異質の感覚で、今思えば階段を上ったときとか、重い荷物を担いで歩いたときに、この症状が出ていたような気がします。

 定期的に歯科健診も受けているし、そもそも虫歯の痛みではないとは思っていたのですが、他に相談するところもないので、行きつけの歯科医院を受診。思った通り虫歯や歯周病などはなかったのですが、歯科医師が内科を受診するよう勧めてくれたんです。

 聞けば、内臓疾患から歯が痛むことがあるとのこと。まさかとは思いましたが、妻がしきりに勧めるので、仕方なく近所の病院に行きました。

 医師に一連の話をすると、「念のため」と心電図を撮ったところ、これで一気に狭心症の疑いが高まり、循環器の専門病院へ。造影剤を入れて調べたところ、間違いなく狭心症。冠動脈に95パーセントの狭窄ができていました。血流が通常の5パーセントまで落ちていたんです。

 「いつ心筋梗塞になってもおかしくない」とのことで即入院。カテーテルで血管の内部を広げ、再狭窄を防ぐためのステント(金網)を取り付ける治療が行われました。

 治療は成功。抗血小板薬を飲み続け、半年後の再検査では「異常なし」。全快となりました。

 私の場合はたまたま歯科医が内科の受診を勧めてくれたことや、普段楽天的な妻が今回だけ妙に心配するなど、いくつかの偶然が重なっての病気発見でしたが、おかげで命拾いができました。

 今は再発予防のため、“脱メタボ”に取り組んでいます。

 ■内科・三好クリニック(東京・港区)院長・三好俊一郎医師の話

 “痛み”という症状は、脳が「ここ」と場所を指定することで、当人は「ここが痛い」と感じるもの。しかし内臓の場合は、脳が指定する場所と実際に“何かが起きている場所”が一致しないことがあるのです。

 中でも心臓の症状が出やすいのが歯や首。戸川さんも最初は歯の痛みでした。これは胎児が母体の中で形成される過程で、最初に心臓ができる場所が“首から左の奥歯のあたり”ということによるもの。胎児の成長とともに心臓は下降し、本来の胸の位置に収まりますが、神経は首の周囲に余韻を残して成長するため、生まれてから何十年もたっているのに狭心症の痛みが歯や首に出ることがあるのです。

 症状の出方は本来の狭心症と同じで、坂道や階段を昇ったときや、重いものを持って歩いたときなどの「労作時」に始まり、数分安静にしていると自然に治まっていく-という特徴的な傾向があります。戸川さんのケースのように、すべての歯科医師が狭心症を疑ってくれるわけでもなく、もし虫歯でも見つかれば当然そちらの治療が先行し、狭心症の発見は遅れます。

 また初めて胸の症状が出てから2週間ほどは心筋梗塞に移行しやすく危険な状況が続きます。

 歯や首に「労作時にのみ現れる痛み」が出た場合は、早めに自分から心臓の病気を意識することが、早期発見のカギなのです。(構成・穐田文雄)

“歯の痛み”は心臓の血管異変シグナル!

・歯科では治らない病気も

歯科では治らない歯の痛み エピローグにかえて

歯科では治らない歯の痛み エピローグにかえて 
医療安全について述べてきました。当たり前のこととして患者さんの信頼の上に成り立ってはいるけど、実は歯科医療の現場で十分かなと思えるものがあります。そのひとつが"診断"です。
 "歯が痛いのは歯が悪いからだから歯の治療をすれば治る"
この考え方は歯科医師も患者さん自身も信じて疑わないことと思います。歯の痛みは虫歯か歯周炎のいずれかです。それは直接口の中を見るかレントゲンでも撮ればある程度容易に捉えることができます。したがって、歯科ではあまり診断論には重きを置かれず、もっぱら治療論が重視されます。当然です。
その一方で、歯の治療をしても無くならない痛み、抜歯までしても消えない痛みが存在します。
歯の痛みだけど原因が歯ではない痛み。これを非歯原性歯痛とか、口腔顔面痛といいます。診療ガイドラインもあり、少しずつですが認知されてきています。

詳細はこちら↓
歯科では治らない歯の痛み

 

【西明石駅から徒歩1分のめばえ歯科クリニック】


 
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